Gibson ES-125 1951年製フルアコースティック・ヴィンテージギター
我が家にギブソンヴィンテージギターがやってきた!
素敵なご縁でヴィンテージエレキギターをお借りすることになりましたので、ギター弾きとして元楽器店勤務の身として、その生い立ちを改めて知りたくなり仕様を細かく調べてみました。
Gibson ES-125の歴史
1938年
ES-100として発売。
14 1/4”ボディ、Xブレーシングカーブドスプルーストップ、フラットバック、ブレードピックアップ(ネックポジション)、シングルバインディング(トップ&バック)、ブラジリアン・ロースウッド(ハカランダ)指板、ドットインレイ、シルクスクリーンロゴ、サンバーストフィニッシュ1940年
ピックアップがメタルカバータイプとなり、各弦ごとに高さ調整可能なポールピースが付き、ブリッジポジョションに移動。1941年
モデル名がES-125にチェンジされる。1943年
第二次世界大戦の影響で生産が一時ストップする。1946年
戦後再生産が始まる。
16 1/4”ボディ、P-90ピックアップ(ドッグイヤー/ノンアジャスタブルポール/ネックポジション)、べっ甲セルロイドピックガード、トラピーズ(ぶらんこ)テールピース、シングルバインディング(ボディトップ&バック)、パーロイドトラぺゾイドインレイ、シルクスクリーンロゴ、サンバーストフィニッシュ
※一部のモデルでオールマホガニーボディやドットインレイ仕様もあったようです。1950年
プレーンテールピース、ドットインレイに変更。1951年
アジャスタブルポールのスタンダードP-90ピックアップに変更。
この頃からボディトップ&バック材がラミネイトメイプルになる。1970年
生産終了
ES-125の発売当初はES-150の下位モデルとして、ボディがひとまわり小さかったんですね。
ギブソンのこの辺のモデル名の数字は当時、そのまま販売価格だったそうです。ES-125は125ドル。
各年代の面白い仕様として一つあげると、1940年から数年はピックアップの搭載位置がネック寄りではなく、ブリッジ寄りに設置されていたんですね。
箱モノギターで1マイク・ピックアップの場合は大概ネック寄りに搭載されますが、ロックが誕生するよりずっと前の時代なのに何故かブリッジ寄り。
これは上位機種ES-150との差別化のためだったんだろうか。
ジャズよりもブルースギタリストをターゲットにしてそうなったんだろうか。
それとも生産効率のため?
なんて想像しながらあーでもないこーでもないと考えるのもヴィンテージ楽器の楽しいところですね。
「Gibson ES-125 1940」のように知りたいモデルと製造年を入れてググると、
だいたいその年式のモデルの画像がヒットします。いい時代になったものですね。
もちろん違うモデルもひっかかるので、判断は自己責任で。笑
戦後、ES-150のボディサイズ(幅)が16 1/4インチから17インチに変わったのと同じくらいの時期、ES-125のボディも14 1/4インチから16 1/4インチにサイズアップしました。
この辺は、当時の音楽がより大音量になっていったところが影響しているんでしょうかね。
1949年にはカッタウェイモデルのフルアコ定番モデルのES-175が登場。
1950年代以降は、ES-125の別バージョンとしてカッタウェイボディやシンラインボディモデルも登場しますが、これ以上は長くなりそうなのでまた別の機会に。笑
製造年の判別ポイントは?
さて、今回お借りした個体は長い年月をまたいで全体的にだいぶ酷使された印象。
弾き倒したというよりは、前オーナーの保管状態が雑だったのかな。笑
ボディ内に直接書かれていたと思われるシリアルナンバーは完全に消えていて、ペグやテールピースが交換されていたりピックガードが無かったりと、フルオリジナルではないので製造年を正確に断言することは難しいところですが、、、
確実な判断基準として、ボディ材がスプルースではなくラミネイトのメイプル材であることや、ヘッドの『Gibson』ロゴの字体が1947年から1951年のタイプであること、ピックアップがノンアジャスタブルポールでななく、アジャスタブルタイプのスタンダードP-90であることなどを踏まえて、
1951年製の可能性が大!
ということは、今年、2021年でちょうど70歳!!おじいちゃん!!
とはいえピックアップも交換されている可能性があるので、最終的に分解しない限りはファンタジーに包まれたまま。
ま、それくらいがまた夢があっていいじゃないですか。
いずれにせよ、戦後の1950年前後に作られたものには間違いなさそうです。
見た目はボロボロですが、ネックの状態は悪くないのでプレイヤーズギターとして十分に使えそう。
この頃のギターは何と言ってもハカランダ指板ってのがシビれます。
ギブソンがハカランダ材を使っていたのは1965年あたりまで。
そういえば、星野源さんも同じタイプのES-125を使ってましたね。
軽くアンプを通して鳴らしてみましたが、カラッカラに乾いた胴鳴りとハカランダ指板の色気とP-90の芯のあるファットなシングルコイルサウンドがたまりませんな。^ ^
今後、じっくり音を出して付き合って行きながら新たな気づきがあればこのブログも随時更新します。
※参考文献
Gruhn's Guide to Vintage Guitars
楽器店勤務時代に酷使したこの参考書もだいぶヴィンテージになりました。